Sora 売店 / 動線・オペレーション分析

仮映像(9/16)で分かったこと と 9/21 現地調査の設計

映像:2026-09-16(水)14:23〜15:21・58分04秒iPhone 固定・1080p・店内高所から売り場を俯瞰解析:人物検出(匿名・顔認識なし)+目視で全組を追跡

平日午後の空いている時間帯の映像だが、「注文した組がアイスの受け取りまでレジ前を占有する」構造がそのまま映っている。土日の長蛇の列はこの構造が人数倍になったものと考えてよく、9/21 はこの映像で立てた仮説を混雑下で数えに行く日にする。

この映像で測れたこと
組ごとの滞在・レジ前占有・待ち方

入店から退店まで全 10 組を目視で追跡。人物検出で店内人数とレジ前人数の推移、足跡ヒートマップを自動生成

この画角で測れないこと
入口の外・チーズ売り場・会計内容

入口ドアと外待ち列、チーズのショーケース(と思われる場所)が画角外。POS の日報データには時刻がなく、組と購入内容を結べない

9/21 に足すもの
カメラ2台目・レシート単位のログ・観察シート

入口とチーズ売り場を映す2台目、レジアプリからレシート単位(時刻付き)の書き出し、組ごとの記録シート。この3つで「属性 × 待ち時間 × 買ったもの」が繋がる

0. 目的と、今回の調査で分かればいいこと

目的は売店の販売額を上げること。手段は「列の処理を速くして機会損失を減らす(オペレーション)」と「アイス以外、とくにチーズに手が伸びる売り場にする(レイアウト)」の2つ。その判断材料として、9/21 は次の5つの数字を取りに行く。

知りたいこと数字出どころこの映像で言えたか
1. 誰が来ているか時間帯別の来店組数、人数構成(男女・年代・子ども)観察シート+映像10組20人。属性は目視で取れる
2. どれだけ待って、どれだけ諦めているか列の長さ、注文〜受け取りの時間、並ばずに帰った組数映像(2台)+観察シート一部占有時間は取れた。離脱は外が映らず不明
3. 棚・チーズに何割が触れているか棚・冷蔵庫の前に立った組の割合、商品を手に取った(冷蔵庫を開けた)組の割合、それが会計の前か後か映像(2台目でチーズ売り場)+観察シート一部棚の前に立った4組/10組。冷蔵庫を開けた組は0。手に取ったかは判別しきれず
4. 何と何が一緒に買われているかアイスのみ/アイス+他/他のみ の組数、アイス購入者の併買率(チーズ・牛乳・焼き菓子)レジのレシート単位ログ不可日報は1日1伝票で組に結べない
5. 1組がいくら使っているか組あたり購入額の分布、属性別・待ち時間別の購入額レシート単位ログ × 観察シート不可同上

5つを「入店 → 棚・チーズを見る → 列に並ぶ → 会計 → 併買」の順に並べると、どこで人が落ちているかが1本の漏斗になる。改善案は漏斗のどの段を太くするかで整理できる。

1. 画角と売り場の見え方

カメラは店内の高い位置から、レジカウンターとジェラートのショーケース、ソフトクリーム機、左手の物販棚、奥のトイレ扉と工房への通路を一望している。入口はカメラの左手前(ガラス戸)で、お客さんは奥の壁沿いを歩いてカウンターに来る。奥の白い冷蔵庫には商品が入っている(売り場の一部)。カメラの真下、ショーケースの手前はカフェへ続く通路で、レジ前の床とつながっている。

店内の全景
04:00 の無人時。左:物販棚と黄色のテーブル、中央:トイレ扉と商品の入った白い冷蔵庫、右:レジカウンター・ジェラートケース・ソフトクリーム機。画面下端がカフェへの通路
解析ゾーンの定義
解析ゾーン。緑=レジ前(注文・支払い・受け取り待ちの客が立つ場所)、黄=ショーケース前、紫=商品のある場所(左の物販棚と、奥の白い冷蔵庫)、橙=入店経路、灰=カフェへの通路(画面下端・カメラの真下)、青=スタッフ側
画角外で見えないもの。入口ドアの外(外待ち列)、チーズの陳列(この映像にはチーズのケースが映っていない)、カウンター上の決済端末の操作内容。9/21 は2台目でここを押さえる。

2. 58分間に起きたこと

58分で 10 組・約 20 人。人物検出(5fps)で店内の客数とレジ前ゾーンの人数を秒ごとに数えた推移が下の図。山が立っているところが「1組がレジ前に立っている時間」で、47〜53分は3組が重なって小さな列ができている。

店内の客数(スタッフ除く)レジ前ゾーンの人数
0 2 4 6 8 0分 10分 20分 30分 40分 50分 録画開始 14:23 からの経過時間(5秒ごとの最大値)
67.1%
店内に客がいた時間の割合(39分)
50.8%
レジ前に客が立っていた時間の割合(30分)
8
同時にいた客の最大数(検出値、目視では6〜7人・50〜52分)
8
左の物販棚ゾーンに人がいた時間(列の端に立っていた人を含む)

組ごとの記録(目視・10秒刻み)

#入店構成レジ到達受け取り退店滞在レジ前占有様子
106:00女性1人06:40約1分通過のみ。購入なし
209:30シニア4人(男2・女2)09:4013:40〜14:1015:50以降約6.5分約4.5分4人全員がレジ前に立ったまま待つ。会計後に男性1人が棚を見てもう一度カウンターへ
326:00若いカップル26:4029:3030:00約4分約3分受け取り中に次の組(#4)が後ろで待機
427:30中年カップル30:0032:3033:10約5.5分約2.5分#3 の後ろで2.5分待ち。会計後に女性が左の棚へ
535:30母+子+ベビーカー36:0038:0039:00約3.5分約2.5分子どもがソフトを受け取ってすぐ退店
643:50カップル44:2046:0046:40約3分約2分女性スタッフが対応
746:10カップル46:4049:3052:00約6分約5分この組の後ろに #8・#9 が滞留し、店内が最大 8 人に
848:30男女2人50:3052:3053:30約5分約2分2分待ってからレジへ
949:20家族+ベビーカー53:00約3.5分奥で待って退店。購入したかは映像から判別できず
1054:30男性1人55:0058:00以降3.5分以上3分以上スタッフ2人が同時に対応。録画終了まで続く

時刻は録画開始からの経過。10秒刻みの目視なので誤差 ±10秒。組の境界と「受け取り」は映像から判断した。

4人組がレジ前で待つ様子
11:30 ── #2 の4人。注文後、スタッフがソフトクリーム機とショーケースを往復する4分間、4人ともレジ前に立って待つ。棚もケースも見ていない
3組が重なった様子
50:30 ── #7 の受け取り待ちの後ろに #8 と #9 が滞留。平日でも3組重なれば「列」になる

動線の線図

人物検出の位置を1秒ごとに間引き、立ち止まりを丸(大きさ=秒数)、移動を線にした。上が全員、下が組ごと。追跡IDは人が重なると切れるので、1本の線が1人と一致しない箇所がある。それでも「奥の壁沿いに入って、レジ前で止まり、左に流れて出る」という形は共通している。

全員の動線
58分間の全員の動線。三角=現れた地点、丸=立ち止まり(5秒以上)。色は組。丸が集中しているのはレジ前と、その左隣(列の末尾と棚の前が重なる場所)
組ごとの動線
組ごとの動線。#2(4人組)と #7 はレジ前に大きな丸が並ぶ=全員がその場で待った。#5・#6 は左の棚の前に丸がある=棚の横で待っていた。#4 は会計後に左の棚へ寄って出ている
線図をきれいに出すには。今回の斜めからの画角だと、列の末尾と棚の前が画面上で重なり、奥行きも潰れる。9/21 は1台をできるだけ真上(天井近く)からに置くと、人が重なりにくく追跡が切れず、床の位置がそのまま座標になる。線図と滞留の集計はこちらの1台で、表情や手に取った商品は今回の画角で撮る

棚に行った割合と購入の関係(この映像で言えるところまで)

#構成棚の前に立ったそれは商品を見たアイスを買った棚の商品を買った
1女性1人なしなし
2シニア4人1人会計後見た買った不明(再度カウンターへ)
3若いカップル買ったなし
4中年カップル1人会計後見た買った不明
5母子+ベビーカー1人待機中不明買ったなし
6カップル2人待機中見ていない買ったなし
7カップル買ったなし
8男女2人買ったなし
9家族+ベビーカー不明不明
10男性1人不明(録画終了)不明

足跡ヒートマップ

客の滞在ヒートマップ
58分間の客の位置(人物検出の中心点を集計)。熱いのはレジ前の一点だけで、左の物販棚と奥の冷凍庫まわりはほぼ冷たい。売り場の面積の大半が「通路」として使われている

2b. スタッフの動き

スタッフ側を「レジ」「ソフトクリーム機」「奥の作業場(袋詰め・工房への通路)」の3か所に分け、それぞれに何人いるかを秒ごとに数えた。2人の制服がほぼ同じ(白シャツ/ミント色シャツに白エプロン)で、この画角では自動で個人を分けきれなかったため、人数ベースで見ている。

客がレジ前にいるスタッフがその場所にいる(濃い=2人)
客(レジ前) スタッフ:レジ スタッフ:ソフト機 スタッフ:奥 0分 10分 20分 30分 40分 50分
43%
レジにスタッフが誰もいない時間の割合(1人 54%・2人 3%)
43%
客がレジ前にいるのに、レジにスタッフがいない時間の割合(29分中 12分)
81
ソフトクリーム機への移動回数(検出ベースの目安・58分)
1分40秒
2人が同時にレジにいた時間

注文ごとのスタッフの往復

対応した組レジ前が占有された時間帯長さソフト機へ奥へ客が待つ間、レジが無人2人がレジに
#2 シニア4人09:17〜14:425分25秒912104秒(32%)6秒
#3・#4 2組26:22〜33:287分06秒1014173秒(41%)14秒
#5 母子34:16〜37:163分00秒4258秒(32%)2秒
#6 カップル43:58〜46:362分38秒43138秒(87%)0秒
#7〜#9 3組47:20〜52:425分22秒108142秒(44%)20秒
#10 男性1人54:34〜58:053分31秒4842秒(20%)13秒

「ソフト機へ」「奥へ」は、その場所にスタッフが現れた回数(2秒以上空いてから再び現れたら1回)。検出の途切れで実際より多めに出るので、往復の目安として読む。

見えたこと

スタッフ側の改善案(9/21 で効果を見積もるもの)

3. 映像から立てた仮説

オペレーション

レイアウト

今回の映像だけで言えること、言えないこと。「レジ前を1組が長く占有する構造」は平日でも確認できた。ただし「列が長いからチーズが買われない」は、チーズ売り場が映っておらず購入内容も結べていないので、まだ仮説。9/21 の計測で数字にする。

4. POS との連携について

手元にある販売管理ソフトの売上日報(CSV)は、レジ売上が1日1伝票にまとまっていて時刻がない。たとえば 2026-05-03(GW)はレジ売上が1伝票で、品目ごとの数量だけが分かる。

2026-05-03 レジ売上(日報から)点数金額
ソフトクリーム 4種(コーン・ミルク・ソフジェラ・シェイク)266¥143,860
ジェラート シングル・ダブル215¥113,950
カップアイス・アイスモナカ18¥8,280
ジャージーチーズ 5種(ゴーダ・モッツァレラ・ストリング・端・スカモルツァ)37¥35,814
牛乳 180ml・900ml23¥16,430

アイス系が約 500 点に対してチーズは 37 点。この比率は分かるが、「どの組が」「何分待って」「何を買ったか」は日報では辿れない。映像と結ぶのはAirレジの取引 CSV(レジは Airレジ)。取引ごとに日時・商品・数量・金額・支払方法が入るので、会計時刻で映像の組と突き合わせられる。

Airレジでやっておくこと

結び方はシンプルで、映像の「会計した瞬間」の時刻とレシートの時刻を突き合わせる。そのために当日は録画開始時にスマホの時計(秒表示)をカメラに映して時刻合わせをする。

5. 9/21(月・敬老の日)現地調査の設計

三連休最終日で混雑が見込める。目的は「仮説を数字にする」ことと、「改善案の効果を試算できる材料を揃える」こと。映像は後から何度でも見返せるので、当日は映像に残らないもの(購入内容・声・外の列・寸法)を優先して記録する。

カメラの置き場所

カメラ配置の候補
1=今回と同じ位置(カフェ通路の上、高所)。2=店内奥の角、工房入口の上の天井近くから、入口ドア・カフェ通路・カメラ1側の壁を向ける。1 と 2 で店内を向かい合わせに撮ると死角が消える。3=外待ち列用に、入口ガラス戸の外側か窓越し。チーズ売り場が 2 の画角に入らなければ、2 の位置を左右にずらすか、チーズ売り場の真上に小さく1台足す

準備(9/20 まで)

  1. カメラ2台+外1台今回と同じ高所ワイド(カウンター・列・スタッフ)に加え、店内奥の角(工房入口の上)から入口ドア・カフェ通路・カメラ1側の壁(チーズ売り場)を向く2台目。外待ち列は入口ガラス戸の外側(軒下)か窓越しに3台目。iPhone は電源につなぎ、横向き固定、画面ロック中も録画が止まらない設定に。1時間ごとにファイルが分かれてもよい
  2. 時刻合わせ録画開始時に、両方のカメラに同じスマホの時計(秒まで)を映す。レジアプリの時計も同じスマホと比べてズレを控える
  3. レジアプリの書き出し確認使っているアプリ名と、レシート単位の履歴(時刻・明細・決済手段・客数入力の有無)を CSV で出せるかを平林さんに確認。出せなければ当日は閉店後にレシートジャーナルを印刷
  4. 観察シートGoogle フォームを作成済み。スマホのホーム画面に置いて、1組ごとに送信する。組番号は入店順に振る
    https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd1r6UNv1AwuinRWZ-P2QtPxk3qB_htNVX2Gg9jtzuWaLI5Kg/viewform
  5. メジャー・図面売り場の寸法(壁・カウンター・ケース・棚・扉)を測って縮尺図を描く。レイアウト案は縮尺図の上でしか議論できない

当日の役割

カメラ(自動)
2台で開店から閉店まで。滞在時間・列の長さ・待ち方・スタッフの動きは後からこの映像で数える
masaki(観察)
組ごとの記録に専念。属性・人数・見た場所・注文内容の聞こえた範囲・会計時刻。ピークで追い切れないときは「5分ごとの列の人数」に切り替える
レジ担当(協力)
普段どおり。可能なら会計時に客数をレジに入力してもらう(アプリに機能があれば)
閉店後
レシート単位のログを書き出し、観察シートの会計時刻と突き合わせる

masaki の当日の動き(開店から閉店まで)

時間帯やること持ち物・注意
開店 90 分前カメラ3台を設置し、3台に同じスマホの時計を映す。売り場の寸法を測り、床の基準点6〜8か所にマスキングテープで印を付けて写真を撮る。Airレジの客層・客数入力が有効か確認メジャー、マスキングテープ、モバイルバッテリー、三脚かクランプ、スマホ(時計と観察シート)
開店 30 分前スタッフに3つだけ伝える。色違いの帽子かエプロンを着ける/会計時に客層と客数をタップする/普段どおりに動く(観察を意識しない)。自分の立ち位置を決める(レジ前と入口の両方が見える、客の動線を塞がない場所)観察は「見ている」と分かるとお客さんの行動が変わる。売店スタッフの一員に見える格好で
開店〜混雑前組ごとの記録に専念。1組ずつフォームを送信。余裕があるうちに出口の2問を5〜10組に聞いて、聞き方を固めるフォームは「組番号」だけ必須。分からない欄は空欄
ピーク(列が3組以上)組ごとの記録は無理に追わず、5分ごとに「店内の列の組数」「外の列の組数」「並ばずに帰った組数」をメモ欄に1行で入れる(組番号は 0)。組ごとの詳細は後で映像から起こす。スタッフの動き(2人が同じ組についた、レジが無人になった)は気づいた時刻だけ書くピークこそ映像に任せる。現場でしか取れないのは離脱と外の列と会話
ピークの合間出口の2問を続ける(目標 20〜30 組)。「困りごとの動作」が出た組は会話をメモ「チーズを売っているのを知っていましたか」「今日はなぜ買わなかったですか」の2問だけ
昼食列が切れた時間に15分。カメラの録画が続いているか、電池残量を確認録画停止に気づかないのが最大のリスク。1時間に1回はカメラを見る
閉店後Airレジの取引 CSV を当日分+過去1年分で書き出し。3台の映像をバックアップ。売り場と什器の写真を撮る(正面・チーズ売り場・冷蔵庫の中)。スタッフに「今日いちばん困った瞬間」を1つずつ聞く映像は帰路で Drive に上げるより、SSD かノート PC にコピーしてから

観察シートの項目(1行=1組)

項目入力何に使うか
組番号入店順の連番映像・レシートとの突合キー
入店時刻・入口hh:mm:ss・正面/カフェ側滞在時間・到着率・カフェからの流入
人数・構成大人男/大人女/子ども/シニア の人数属性別の購入傾向
見た場所チーズ/物販棚/奥の冷蔵庫を開けた/見ていない(複数可)導線と「見たのに買わなかった」の検出
列に並んだ時刻・列の長さhh:mm:ss・前に何組待ち時間と離脱の関係
離脱並ばずに出た/並んで途中で出た機会損失の件数
会計時刻hh:mm:ss(レジの時計で)レシートとの突合
退店時刻hh:mm:ss滞在時間
メモ会話・迷い・質問など定性の材料

当日に数える指標と判定

仮説数える指標こう出たら仮説は正しい
H1 アイスの列がレジを塞ぎ、チーズ・物販の売上機会を失っている列が N 組以上のときに「見たが並ばず出た」組数、時間帯別のチーズ点数/会計件数列が長い時間帯ほどチーズ点数の比率が下がる。離脱組が1日に10組以上
H2 1組のレジ前占有が長く、それが列の長さを決めている注文〜受け取りの時間、会計〜受け取りの時間、スタッフの往復回数占有時間の平均が3分を超え、そのうち製造待ちが半分以上
H3 待ち時間に見えるものがなく、チーズは導線上にない待っている間に棚・チーズを見た組の割合、会計後に棚へ行った組の割合待機中に見る組が2割未満、会計後に見る組がそれより多い
H5 列がカフェへの通路を塞ぎ、カフェとの行き来を止めている列が通路にかかっていた時間、カフェ側から来て引き返した人数、カフェ→売店で買った組数ピーク帯で通路が塞がる時間が3割を超える
H4 スタッフの配置で処理能力が変わるスタッフ人数別の1時間あたり会計件数、1注文あたりのソフト機・奥への往復回数、客がレジ前で待つ間にレジが無人の時間、2人が同じ組についた時間2人体制でも件数が1.3倍に届かない

お客さんが困っている場所の見つけ方

「困っている」は映像では直接見えないので、次の動作を困りごとの代わりに数える。9/21 の観察シートの「メモ」欄はこの語彙で書く。

見える動作読み取れる困りごと今回の映像での例
立ち止まって周囲を見回す、入口で止まるどこで注文するか、並ぶ列がどれか分からない#6 が入店後、左の棚の横で1分半立っていた(レジに人がいなかった)
カウンター前で待っているのにスタッフと目が合わない注文を受けてもらえるタイミングが分からない客がレジ前にいてスタッフ不在の時間が43%
メニュー札を指差す、スタッフに質問する商品の違い・値段が伝わっていない#2 が注文時にショーケースの札を指差して確認
会計後にもう一度カウンターへ戻る買い忘れ、追加注文の導線がない#2 の男性が会計後に棚を見てからカウンターへ戻った
列の途中で離れる、外を見て入らない待ち時間の見込みが立たないこの画角では入口の外が映らず未確認(9/21 の2台目で)
冷蔵庫・棚の前で手を伸ばさない売り物だと分からない、触っていいか分からない冷蔵庫を開けた組は0

図面の上に動線を描く方法

できる。この画角の映像からでも、床の上の4点以上(カウンターの角、扉の枠、マットの角など)について「画像上の位置」と「図面上の位置(実測)」の対応が取れれば、射影変換で全員の足元の座標を図面に落とせる。今回の映像は人物の足元が画面下で切れているので精度は粗いが、9/21 に次の3つを揃えれば実用になる。

  1. 売り場の縮尺図。壁・カウンター・ショーケース・棚・冷蔵庫・扉・カフェ通路の位置を実測して描く(当日メジャーで測る)
  2. 床の基準点を6〜8か所決めて、図面上の座標を記録し、カメラの映像でその点が見える写真を撮る(マスキングテープで印をつけると後で拾いやすい)
  3. カメラは高い位置から真下気味に。足元が切れず、人が重ならない。これで追跡が切れにくくなり、線が1人1本に近づく

できあがるのは、図面の上に「組ごとの動線」「滞留の丸」「スタッフの動線」を重ねた図。レイアウト案は同じ図面の上に描くので、現状の動線と案を並べて比べられる。

結果から作れるもの

平林さんにお願いすること

  1. レジアプリの名称と、レシート単位の履歴(時刻・明細・決済手段)を CSV で書き出せるか。書き出せるなら、9/16 14:00〜15:30 の分を試しに1回出してもらう(今回の映像と突き合わせて手順を確認する)
  2. 9/21 の営業時間、スタッフの人数とシフト(誰がレジ、誰が製造か)
  3. カメラ2台の設置:今回の位置に1台、もう1台は入口ドアと外の列、チーズ売り場、カフェへの通路が入る位置(天井近くから真下気味が理想)。電源が取れる場所かどうか
  4. チーズと物販の陳列場所の写真を事前に1枚ずつ(今回の映像に映っていないため)
  5. 当日、会計時に客数をレジに入力できるか(アプリに機能があれば)。無理なら不要
  6. 当日、スタッフごとに色の違う帽子かエプロンを着けてもらえるか。映像で個人の動きを分けるため(今回は同じ制服で自動判別ができなかった)
  7. 混雑日の過去の映像や写真があれば1本(列がどこまで伸びるか、外に出るかを事前に知りたい)
  8. 可能なら売り場の寸法(間口・奥行き・カウンターとケースの幅)。当日こちらで測ってもよい

6. 一般的な店舗分析の手法と、今回への取り込み

小売の動線・購買分析で使われている手法を並べ、今回の売店に当てはめた。「今回の映像で出せた」「9/21 で取る」「後日」の3段で状態を付けている。全体は1本の式に集約できる。

売上 = 入店組数 × 買上率 × 客単価  入店組数 ← 通行量 × 入店率 / 買上率 ← 待ち時間・離脱 / 客単価 ← 買上点数 × 平均単価 ← 併買率 ← 立寄率 × 接触率

手法の一覧と当てはめ

手法何を測るか今回の売店での使い方状態
入店率(キャプチャ率)店前の通行量に対する入店の割合牧場・カフェに来た人のうち売店に入る割合。入口外の2台目カメラで通行量を数える9/21
買上率(コンバージョン)入店組数に対する会計組数判別できた8組中8組が購入(平日)。混雑時に「並ばず帰る」「並んで諦める」で下がる分を離脱数として数える出せた
滞在時間と買上額滞在時間の分布と、それが買上額と相関するか平均滞在4.6分・うちレジ前占有3.1分。滞在のほぼ全部が「待ち」で、見て回る時間ではない。9/21 はレシートと結んで「待ち時間が長い組ほど買わない」かを見る出せた
売り場の漏斗(通過率→立寄率→接触率→買上率)什器ごとに、前を通った/立ち止まった/手に取った/買った の割合左の棚:通過10組・立寄4組・商品を見た2組・購入不明。冷蔵庫:通過10組・開けた0。チーズ売り場は画角外。9/21 に什器ごとに数える一部
動線図(トリップマップ)と通過率マップ組ごとの経路と、売り場の各点を何割が通ったか2章の線図。図面と基準点が揃えば図面上に落とし、什器ごとの通過率を出す出せた
滞留ヒートマップどこに人が溜まるか2章。レジ前一点に集中。休日はこれが列として通路とカフェ入口に伸びる出せた
待ち行列の見積もり(到着率・処理率・レーン数)到着率λ と1組の処理時間S から、列の長さと待ち時間を出す下の表。休日に列が伸びる理由と、「人を増やす」「工程を分ける」のどちらが効くかを数字で比べる出せた
スタッフの動作研究(ワークサンプリング・スパゲッティ図)スタッフが何にどれだけ時間を使い、どれだけ歩いているか2b章。レジ54%・ソフト機34%・奥25%(重複あり)。1注文あたり20回前後の往復。9/21 は色分けで個人別に出せた
サービスブループリント客の行動と、それに対応する表の作業・裏の作業を時間軸で並べる「注文→製造→会計→受け取り」が1レーン直列になっている現状図と、先注文・後渡しの改善図を並べて描く9/21
併買分析(バスケット分析)レシート単位で、どの商品が一緒に買われるか(支持度・信頼度・リフト)アイス購入者のうちチーズ・牛乳・焼き菓子を一緒に買う割合。レジのレシート単位ログが要る。過去分も出せれば季節差も見える後日
客層別分析性別・年代・同伴構成ごとの買上率と客単価観察シートの構成欄 × レシート。「家族はアイスだけ」「シニアはチーズも」のような差が出れば、売り場の声かけ先が決まる9/21
マグネット配置・減圧ゾーン・利き方向目玉商品を奥に置いて店内を歩かせる/入口直後は認知されない/右回りしやすい 等の売り場設計の定石アイスが目玉(マグネット)なのに入口から最短でレジに着く。列の通り道に「見える・触れる」チーズを置くのが定石どおりの手。冷蔵庫は「減圧ゾーン」に近く素通りされる位置
出口インタビュー・覆面調査買わなかった理由、気づかなかった商品、待ち時間の体感9/21 に退店時の2問(「チーズを売っているのを知っていたか」「今日買わなかった理由」)を20〜30組に9/21
介入実験(前後比較・A/B)売り場を変えて同じ指標を測り直す9/21 は現状の計測日。改善案を1つ入れた日をもう1日取って、同じ指標で比べる(列の待ち時間・チーズ立寄率・併買率)後日
アイトラッキング・視認率どこを見ているか装置が要るので今回は対象外。顔の向きと「札を指差す」動作で代用する対象外

待ち行列の見積もり(今回の数字で)

平日の映像から、到着率は 10組/58分(約10組/時)、1組がレジ前を占有する時間は平均3.1分。これをそのまま待ち行列の式に入れると次のようになる。休日の到着率は仮に3倍(30組/時)と置いた。9/21 に実測で置き換える。

条件到着率 λ1組の処理 Sレーン稼働率 ρ平均待ち読み方
平日・現状10組/時3.1分10.53約3.6分空いていても、前に1組いれば3分待つ
休日想定・現状のまま30組/時3.1分11.55増え続ける処理が到着に追いつかず、列は閉店まで伸びる。今の「長蛇の列」
休日・レジを2人に30組/時3.1分20.78約4.7分人を1人足しても、1組3分の工程が残る限り5分近く待つ
休日・先注文で処理を1.2分に30組/時1.2分10.60約1.8分注文と会計だけ先に済ませる。人を増やさず待ちが1/3以下
休日・先注文+2人30組/時1.2分20.30ほぼ0列が消える。ただし製造側(ソフト機の能力)が次の詰まりになる

到着と処理を指数分布と置いた粗い見積もり(M/M/1・M/M/2)。実際は到着が固まって来るので待ちはこれより長め。「人を増やすより工程を分けるほうが効く」という向きは変わらない。先注文にすると製造(ソフト機で1本を作る時間 × 本数)が別の待ち行列になるので、9/21 は1本あたりの製造時間も計る。

9/21 の計測を手法に対応させると

7. 次のアクション